114 不正リスク対応基準(案)
金融庁企業会計審議会は、12月11日に「監査における不正リスク対応基準(仮称)の設定及び監査基準の改訂について(公開草案)」を公表した。
改訂案では、
・平成26年3月期の財務諸表監査から適用
・対象は主に金融商品取引法に基づいて有価証券報告書等の開示を行っている企業
となっており、3月決算の上場企業の場合、平成25年4月から新基準による監査が実施されることが予定されている。
不正リスク対応基準案の中で、特徴的なのは、監査人の職業的懐疑心が強調されている点である。
また、不正リスク対応基準の策定の基本的考え方では以下の点が記載されており、あくまで従来の財務諸表監査の枠組内での基準改訂であることが強調されている。
・重要な虚偽表示と関係のない不正は対象としていない点
・不正摘発を意図したものでなく従来の財務諸表監査の目的の範囲内の監査である点
・リスクアプローチの範囲内で、監査の有効性を確保するものである点
・不正を原因とした重要な虚偽表示のない財務諸表を作成する責任は経営者にあるという点
企業サイドの対応としては、従来と同様に、不正リスク対応基準に示された不正リスク要因等の例示項目を参考にして、社内の状況を定期的に点検し、不備がある場合は、是正を図ることが重要と考えられる。