064 財務報告体制の整備とアカウンティングポリシーの役割
アカウンティングポリシーとは、IFRSが原則主義を採用しているために必要となる、企業が採用する会計方針を詳細に記載したものである。アカウンティングポリシーの作成は、質の高い財務報告の体制の整備と業務の効率化を可能にする点で非常に重要である。
IFRSの財務報告体制について、グループ各社が今まで通り、地域の慣行や独自の方法で財務報告をする場合、それらをまとめる作業だけで手いっぱいになり、企業にとっては、財務報告の作成が非常に困難なものになってしまう。当然IFRSでは「グループ内で行われた同一の取引について、同一の会計処理」が求められる。その時に非常に有効となるのが、アカウンティングポリシーである。アカウンティングポリシーを用いることで、グループ内の情報伝達を強化し、会計・財務あるいは業務マニュアルの標準化の達成が可能となる。システムの設計やグループ内の情報収集の方法も、アカウンティングポリシーに従って設計されるため、グループ内において、財務報告だけでなく、関連業務に関しても内部統制が統一的に整備されていく。
確かにアカウンティングポリシーの導入は、企業にとって、費用・作業面で大きな負担が生じる。しかし、企業のグループ内統制を見直す絶好の機会であると考え、アカウンティングポリシーの導入・整備を真剣に考えてみる必要がある。