070 業績不振企業の繰越欠損金の取扱い
ドイツの法人税法8c条によると、一人の取得者や一つの取得者グループが25%超のドイツ法人の持ち分、もしくは5年以内に50%超を取得した場合、繰越欠損金の全部または一部を利用することができなくなる。この例外として、持分保有者の変更が企業再建を目的として行われた場合には繰越欠損金を利用できるとされている。しかし、欧州委員会は当該繰越欠損金を不当な国家支援として認定したため、ドイツの業績不振企業への優遇措置を撤回するよう求めた。
ドイツ企業は見通しよりも多額な繰越欠損金を有しており、優遇措置の撤回が確定した場合には、税収減に歯止めがかかるであろう。一方、業績不振の企業は内部留保を持っていないことが多いことから、優遇措置が撤回された場合には、再建を果たすことがいっそう難しくなると思われる。ドイツに進出している企業については、動向を見守る必要がある。