079 「IFRS9早期適用」
住友商事は、2011年3月期の有価証券報告書において、IFRSによる開示を行っています。中でも注目に値するのが、IFRS9を早期適用している点ではないでしょうか。IFRS9では、金融資産は、償却原価かFVTPLのいずれかでの測定となりますが、FVTOCIも認められています。
同社では、いわゆる持合株についてFVTOCIを採用したようです。理由は「投資先との取引関係の維持・強化による収益基盤の拡大を目的として保有しており、公正価値の変動を業績評価指標としていない」ことを挙げております。このFVTOCIは、公正価値の評価差額を、その他の包括利益に計上する方式で、従来問題視されていた売却による含み益をPL計上することはできません。この開示を契機として、持ち合い株の保有が商慣習として多い日本においては、FVTOCIを採用する会社は、増えていくものと思われます。しかし、海外、特に欧米のグローバル企業がどの程度、FVTOCIを採用するかは、今後、注目に値します。