091 会社法制見直しに関する中間試案について
法務省の法制審議会会社法制部会において取りまとめられた「会社法制の見直しに関する中間試案」に関して、12月14日、パブリック・コメントの手続が開始された。
全てを紹介することは難しいので、ここでは、会計監査人に関する部分を取り上げたいと思う。
具体的には、「第2監査役の監査機能」に挙げられている「1会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等の決定」である。
現行会社法では、会計監査人の選解任議案や報酬は、取締役が決定する。そして、取締役は監査役等の“同意”を得なければならないとして、会計監査人の独立性を担保する(344条1項、399条)。
要するに、取締役(の作成した計算書類)を監査する立場の会計監査人が、逆に取締役に解任議案と報酬の決定権という弱みを握られているという状況(インセンティブのねじれ)を、監査役の同意権をもって解消しようとするのが現状である。
今回の中間試案では、この監査役の権限を更に強化し、監査役等に“決定権”を与えて(取締役の決定権をなくして)、取締役に対する監督を強化しようとする。
これにより本当に取締役に対する監督が強化されることになるのか、また、新たな問題を生じさせることになるのではないかなど、様々な提言が予想されるため、パブリック・コメントの結果に注目したい。