097 年金資産の消失に係る会計処理について
平成24年3月22日、日本公認会計士協会は、「年金資産の消失に係る会計処理に関する監査上の取扱いについて」を公表した。
最近新聞等で報道されている投資顧問会社と投資一任契約を結んだ年金基金に関する年金資産の消失についての会計処理が示されているので、ここで紹介する。
今般、金融庁から業務停止命令を受けた投資顧問会社と投資一任契約を結んだ年金基金の年金資産は、その大半の消失がほぼ確実に見込まれるとされる。したがって、本事件が明らかになった事業年度において、当該年金資産の消失を財務諸表に反映させる必要がある。
具体的には、年金資産の消失が見込まれる金額を合理的に見積り、退職給付引当金を計上し、本事件に関する損失額は、特別損失として計上される。
また、総合型厚生年金基金に加入し「退職給付に係る会計基準注解」(注12)で定められる複数事業主制度の処理を採用している企業は、当該年金制度への要拠出額を退職給付費用として処理し、所要の注記を行う必要がある。
将来の掛け金拠出等へ一定の大きな影響が重要であると想定される場合は、退職給付に係る注記事項において、当該事案の概要、将来の掛け金等への影響が有る旨などを補足的に説明する。