099 会社法制見直し試案のパブリック・コメント
法務省は4月18日、法制審議会会社法制部会議事録等として、企業統治に関する個別論点の検討経過を公表した。
これは、「会社法制の見直しに関する中間試案」に対して、1月末までになされたパブリック・コメントを踏まえたものである。
会計監査人に関係する部分でいえば、監査役の監査機能としての「会計監査人の報酬等の決定」があがっている。
(現状の問題点等については、以前に紹介した内容をご確認いただきたい。)
パブリック・コメントの意見は、次のようなものである。
・会計監査人の報酬決定は会社の業務執行であり、業務執行は経営判断を伴う取締役の権限である
・監査役が会計監査人の報酬決定を行うことにより、監査報酬の高額化が懸念される
この意見は、業務執行に責任を負わない(業績に責任がない)監査役が、会計監査人の監査報酬という費用発生原因を決定することについて、異議を唱えるものと思われる。
これに対し会議資料では、会計監査人の報酬に関し、会計参与や監査役と同様の規定とすることについて、検討余地があるとしている。
すなわち、会計参与と監査役は、その報酬が定款又は株主総会決議により決定され、かつ、株主総会での意見陳述権を有するという規定(379条、387条)を、会計監査人にも適用しては、ということである。
(現行規定では、取締役が会計監査人の報酬を決定する。株主総会での意見陳述権はない。)
会議資料によれば、これにより、パブコメ意見にある「懸念に対処することになると思われる」とのこと。
ただし、この場合には、議案決定権をどの機関に与えるべきかなどについて「検討する必要がある」としたところで、本論点の検討は結ばれている。
会計監査人の独立性は、監査の実効性を左右しかねないために重要とされる。
また、会社法制部会の検討結果は実務に影響するものでもあるため、継続して注目したい。