ごあいさつ

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111 コーポレート・ガバナンス―ドイツ監査役会の例―

以前、本ページでも紹介したとおり、法制審議会会社法制部会では「会社法制の見直しに関する要綱案」が取りまとめられた。
同部会では、ガバナンスを機能させるために様々な検討が行われたものの、完璧な答えが出たわけではなく、機関設計や機関の権限などは、今後も見直しが検討されることになるだろう。

その際、参考になるのは、海外の会社法制ではないだろうか。
今回は、最近、筆者が触れる機会があったドイツの監査役会制度を紹介したい。

ドイツの監査役会の権限として特徴的な点は、次のようなものがある。
①取締役選任権(株式法84条1項)
②取締役解任権(重大事由ある場合に限る:同84条3項)
③取締役の業務執行同意権(同111条4項)

日本では、①②は株主総会の権限である(会社法329条1項、339条1項)。ドイツの監査役会が強い監督権限を有していることがわかる。

また日本では、業務執行の責任は取締役が負うため、監査役会は③のような権限を有していない。日本の監査役は、特定の場合に、取締役の行為への差止請求権を有するに過ぎない(同385条1項)。

その他、ドイツでは共同決定制度により、監査役会メンバーとして労働者代表の監査役が選任される点も日本には見られない点である。これにより、労働者の意思が経営に反映される。

以上のドイツ監査役会制度は、経営者を監督する機能に関しては日本より強いと考えられる。
共同決定制度により経営の意思決定が遅れるとのデメリットも考えられ、そのまま日本へ導入することは難しいが、面白い例である。