138 過去勤務費用の遅延認識の検討
企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成26年3月24日に第10回IFRSエンドースメント作業部会を開催し、IAS19号「従業員給付」の過去勤務費用について議論した。
過去勤務費用は給与水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加または減少部分を指す。
日本基準では、この過去勤務費用について、遅延認識を採用しており、将来期間に渡って徐々に当期純利益に反映させていく処理を適用している。一方、IFRSでは、即時認識を採用しており、発生した年度に発生した全額を当期純利益に反映させている。
この違いについて、以下の3つの案が提示されている。
①日本基準をベースに、過去勤務費用を当期純利益に遅延認識する。
②権利確定した過去勤務費用については純損益に即時認識し、権利が未確定の過去勤務費用については権利確定するまでの期間にわたって純損益に認識する旧IAS19号における過去勤務費用の規定をベースとして、過去勤務費用を当期純利益に遅延認識する。
③即時認識する処理を修正せずに受け入れる。
過去勤務費用は当期純利益に対するインパクトが大きい項目であるため、今後の動向に注目する必要がある。