035 会社計算規則の一部を改正する省令案について
平成22年7月30日、法務省は、企業会計基準委員会による「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、会計基準)の公表に伴い、会社計算規則の一部を改正する省令案を公表し、施行にあたって広く意見を求めている。この会計計算規則は、会社法で企業に作成が義務づけられている計算書類の内容などについて、法務省令案として規定しているものである。
法務省から公表された改正案では、従来「評価・換算差額等」と表示していた項目を「評価・換算差額等」又は「その他の包括利益累計額」のいずれかの項目で表示することを認めるものとしている。一方で、会計基準では、「その他の包括利益累計額」で表示することとされており、選択適用を認めていない。
この点、会計基準と法務省令で温度差があるようである。零細な中小企業にも、法務省令に基づいた計算書類の作成義務があることを鑑みれば、法務省令案は、新基準に対応しきれない企業への配慮を残しているとも言える。しかしながら、会計基準と法務省令の相違は、実務上の観点からも統一されていることが望ましく同法務省令の施行に向け、調整も期待されている。