金融庁、企業会計審議会総会・企画調整部会の合同会議が平成24年2月29日開催され、社団法人日本経済団体連合会で実施したアンケート調査結果「IFRSに関する調査結果の概要」の報告が行われた。
この中で、実業界等からIFRSの適用は「連結財務諸表に絞るべき」、「当面任意適用を継続して状況の変化を見極めるべき」、「強制適用を行うとしても対象企業を限定して行うべき」といった現実的な意見が多かったようである。
また、原則主義への対応としては、裁量の幅が大きくなる分、「企業と監査人との意見が対立し、調整が難航するケースも想定される」という運用面の懸念や、「監査人には、必要に応じて、また、可能な範囲でガイドライン作成等の適切な対応を行うなど最大限の努力を求める 」といった監査人への要望も含まれていたようである。
次回の開催は3月29日の予定である。
平成24年1月27日、「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」が国会へ提出された。これによると、平成24年7月1日から平成25年3月31日の間に、太陽光発電・風力発電設備を取得し、1年以内に事業の用に供した場合には、当該事業年度において、即時償却ができるとされている。
震災の影響による電力不足を補うことはもちろんのこと、節税対策などにも有効と考えられるため、各企業での有効活用が期待される。
平成24年3月期決算より「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が適用されることとなる。
財務諸表等の開示を行う際には、未適用の会計基準に関する注記を行う必要がある。
具体的には、以下の内容を注記事項として記載する。
①新しい会計基準等の名称及び概要
②適用予定日
③新しい会計基準等の適用による影響
また、遡及処理を行った場合の税務上の取扱いにも注意する必要がある。
会計上で過年度遡及がなされる場合であっても、それは「確定した決算」を修正するという性質ではないため、過年度の法人税の課税所得や税額に影響は及ばない。
ただし、過去の誤謬の訂正の場合には、会計上修正再表示を行うとともに、税務上修正申告を行った上で、過年度の課税所得計算を是正することが必要となる。
東京証券取引所は12月29日、業績予想開示に関して実務上の取り扱いを見直す方針を公表した。
現状は決算短信に記載される業績予想開示しており、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益などを一定の様式で開示する方式で行われている。今回の見直しでは、「定性的な開示」や「添付資料による開示」を許容するなど、その内容や様式を多様化させて、上場会社の実情に応じた様々な将来予測情報を提供させるのが目的である。
東証は、3月以降にもその詳細を公表する予定であり、上場会社にとっては留意が必要な所である。
法務省の法制審議会会社法制部会において取りまとめられた「会社法制の見直しに関する中間試案」に関して、12月14日、パブリック・コメントの手続が開始された。
全てを紹介することは難しいので、ここでは、会計監査人に関する部分を取り上げたいと思う。
具体的には、「第2監査役の監査機能」に挙げられている「1会計監査人の選解任等に関する議案等及び報酬等の決定」である。
現行会社法では、会計監査人の選解任議案や報酬は、取締役が決定する。そして、取締役は監査役等の“同意”を得なければならないとして、会計監査人の独立性を担保する(344条1項、399条)。
要するに、取締役(の作成した計算書類)を監査する立場の会計監査人が、逆に取締役に解任議案と報酬の決定権という弱みを握られているという状況(インセンティブのねじれ)を、監査役の同意権をもって解消しようとするのが現状である。
今回の中間試案では、この監査役の権限を更に強化し、監査役等に“決定権”を与えて(取締役の決定権をなくして)、取締役に対する監督を強化しようとする。
これにより本当に取締役に対する監督が強化されることになるのか、また、新たな問題を生じさせることになるのではないかなど、様々な提言が予想されるため、パブリック・コメントの結果に注目したい。
平成23年12月2日に、「平成23年度税制改正法」及び「復興財源確保法」が公布された。法人税について、税効果会計に影響を与える改正項目の一部は次の通りである。
1)法人税率を30%から25.5%に引き下げ、復興特別法人税を3年間法人税率へ上乗せする。(適用は平成24年4月1日以後に開始する事業年度)
2)中小法人以外の法人については、繰越欠損金限度額を、その繰越控除する事業年度の所得金額の80%(改正前100%)とし、欠損金の繰越期限を7年から9年へ延長する。(平成20年4月1日以降に終了した事業年度において生じた欠損金額に対して適用)
当該改正により、①12月以降の年度決算や四半期では、当該改正税率を用いて税効果会計を計算し、②繰越欠損金控除限度額の2割減少や法人税率の引き下げによる繰延税金資産の取崩しなどの検討については、留意する必要がある。
平成23年12月5日、米国の会計基準設定団体であるSEC(米国証券取引委員会)の主任会計士は、米国のIFRSの導入に関する意思決定をまとめた最終報告書の完成が、数か月遅らせる見通しであることを発表した。
当初、米国では、IFRSの導入の是非や導入方法などについて、2011年中に、決定することを予定していた。しかし、今回の発表により、米国は、IFRS導入の是非について、2011年中には発表されないことが明らかになった。
今年は、IFRSと米国基準とのコンバージェンス(会計基準の内容を近づける作業)が進んでおり、米国基準は、IFRSとほぼ同等の内容に近づいていた。このため、米国は、IFRSを直接適用するのではなく、米国基準の中にIFRSを取り込みながら米国基準を適用する「コンドースメントアプローチ」という導入方法を検討しているところであった。
米国のIFRS導入の是非とその導入方法は、日本を含めた世界各国に与える影響が大きい。今回のSECの主任会計士も「コンドースメントアプローチ」に前向きな発言をしているが、最終的に米国が、どのようなIFRS導入方法が発表されるのか、注目される。
平成23年11月8日に中小企業庁及び金融庁を共同事務局として、中小企業の会計に関する基本要領(案)が公表されました。会社計算規則に準拠しつつ、中小企業に過重な負担を課さないものとすること等を目的に会計処理や表示などについて記載されています。
中小企業に上場企業や大会社と同水準の会計実務・開示を求めるのはコストベネフィットの観点からもよろしくないと思われるため、中小企業向けに整備されていくことは良いことである。
なお、当公開草案に対するコメントは平成23年12月7日まで受け付けている。
日本公認会計士協会は、国際監査・保証基準審議会が公表したクラリティ版の国際監査基準と国際品質管理基準を参考とし、品質管理基準委員会報告書及び既存のすべての監査基準委員会報告書、監査・保証実務委員会実務指針第86号を「新起草方針に基づく報告書」として置き換える改正作業しておりましたが、このほど作業が完了し、平成23 年10 月24 日に、公開草案として公表しました。
この公開草案の中で、早いものは、平成23年9月30日以後終了する中間会計期間に係る中間監査及び平成24年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用されます。
監査業務を実施する際の要求事項と実務上の適用指針が明確化されるなど、基準の国際化・明確化が図られております。要求事項が明示され、監査人には、ルールがより分りやすくなる一方、責任の所在が明確となります。監査法人としては、事務所内の方針の見直しなど一定の対応が必要となり、留意が必要です。
2011年9月30日、IASB(国際会計基準審議会)は、IFRSのワークプランを更新した。
本年9月中に予定されていた「収益認識」の再公開草案は、2011年の4Q(10月以降)に延期となり、「リース」の再公開草案に関しても、2012年前半の予定となった。両基準ともに、最終基準化は、2012年の後半とされている。
議論に議論を重ねた再公開草案がどのようなものになるか、周囲の期待は高い。