日本公認会計士協会では、企業会計基準委員会から平成24年5月17日に公表された企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針」について検討を行った。
この度、一応の検討を終えたとのことであり、監査・保証実務委員会研究報告「年金資産に対する監査手続に関する研究報告」として公表した。
年金資産の多様な運用に関するリスクに応じて、より深度ある監査手続が求められている。研究報告の中では、年金資産の監査手続にあたっての留意点が記載されているが、監査人にとっても、企業側にとっても影響があるのが、年金資産の内訳開示である。
年金資産の主な内訳として、株式や債権など種類ごとでの割合もしくは金額を注記することになる。
また、(注)として、株式や債券について、上場か非上場か、国内か海外かの構成割合も記載することとなる。
なお、年金資産の内訳開示は平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末から必要となる。
日本公認会計士協会は1月29日、「監査基準委員会報告書900『監査人の交代』の改正について」(公開草案)を公表した。
本ページで以前に紹介した、不正リスク対応基準とも関連する、監査人による不正対応をより充実させるための改正である。
今回の改正にも言えることであるが、監査人の交代に関する規定は、改正の度に内容が増え、より具体的になっている。最近の規定に比べると、昔は一般的な規定しか設けておらず、簡素であった。
ところで、監査人の交代が問題になる場合の多くは、不正絡みであろう。
前任監査人にしてみれば、不正は知らなかったことにして、辞任したい。不正を看過してきた責任は後任監査人に押しつけてしまいたいと考える者も出てこないとも限らない。その場合、後任監査人にしてみれば、不十分な引継により、ババを引かされる形になる。後で不正が発覚した場合、最も非難され、責任追及されるのは後任監査人になる。
また、重要情報が引き継がれなかった場合、最悪の場合は「言った」「聞いていない」の水掛け論になり、責任の所在が不明確になるという問題も生じかねない。
これらは極端な例であるが、監査人間の引継の重要性はお分かり頂けるかと思う。これから不正事例の分析をされるような方は参考とされたい。
平成25年1月11日、企業会計基準委員会より、「企業結合に関する会計基準(案)」などが公表された。
これは、国際会計基準とのコンバージェンスを図るための会計基準等の改正となる。
特に、企業結合の考え方には、以下の2つの考え方があり、日本基準と国際会計基準の違いの一つになっていた。
・改正前の日本基準のように親会社株主を中心に考える「親会社説」という考え方
・国際会計基準のように、親会社以外の株主を含めた株主全体を中心に考える「経済的単一体説」という考え方
今回の改正は、国際会計基準のコンバージェンスを図るため、日本の会計基準が、国際会計基準が採用する「経済的単一体説」の考え方を取り入れたものになる。
主な改正点は、以下のとおり。
・「少数株主持分」を「非支配持分」と改める。
・「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」と改める。
・子会社株式の追加取得及び支配が継続する子会社株式の一部売却、子会社の時価発行増資等、従来損益取引としていた取引を資本取引とする。
・取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等)は、発生した事業年度の費用とし、その取得原価に含めなかった金額は注記する。