ごあいさつ

ようこそお越し下さいました。
このページは、アリアメンバーが最新の業界情報についてアップロードしております。
経済情勢や基準等が目まぐるしく変化する昨今、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
なお、文中の意見に係る部分は各メンバーの私見であり、法人の見解とは関係がありません。

112 企業結合会計基準の公開草案、年内に公表へ

ASBJは年内にも企業会計基準の公開草案を公表する。その概要は以下のとおりである。

①連結と単体はともに、のれんの処理について、現行のまま償却処理を継続する。
②企業結合における取得関連費用については、すべて発生時の事業年度の費用として処理する。
③暫定的な会計処理の確定または見直しが企業結合年度の翌年度に行われた場合、当該暫定的な会計処理の確定または見直しの影響を企業結合年度の財務諸表に反映する。
④非支配株主持分を資本の範囲に含め、非支配株主との取引を資本取引とする。

従来、非支配株主持分は、資本の範囲に含まれておらず、非支配株主との取引も損益取引として扱われていたが、今回の公開草案の内容はIFRSの会計処理を踏まえたものとなっている。

非支配株主との取引が資本取引として扱われることで、親会社の子会社に対する持分変動による差額は資本剰余金として処理される。

111 コーポレート・ガバナンス―ドイツ監査役会の例―

以前、本ページでも紹介したとおり、法制審議会会社法制部会では「会社法制の見直しに関する要綱案」が取りまとめられた。
同部会では、ガバナンスを機能させるために様々な検討が行われたものの、完璧な答えが出たわけではなく、機関設計や機関の権限などは、今後も見直しが検討されることになるだろう。

その際、参考になるのは、海外の会社法制ではないだろうか。
今回は、最近、筆者が触れる機会があったドイツの監査役会制度を紹介したい。

ドイツの監査役会の権限として特徴的な点は、次のようなものがある。
①取締役選任権(株式法84条1項)
②取締役解任権(重大事由ある場合に限る:同84条3項)
③取締役の業務執行同意権(同111条4項)

日本では、①②は株主総会の権限である(会社法329条1項、339条1項)。ドイツの監査役会が強い監督権限を有していることがわかる。

また日本では、業務執行の責任は取締役が負うため、監査役会は③のような権限を有していない。日本の監査役は、特定の場合に、取締役の行為への差止請求権を有するに過ぎない(同385条1項)。

その他、ドイツでは共同決定制度により、監査役会メンバーとして労働者代表の監査役が選任される点も日本には見られない点である。これにより、労働者の意思が経営に反映される。

以上のドイツ監査役会制度は、経営者を監督する機能に関しては日本より強いと考えられる。
共同決定制度により経営の意思決定が遅れるとのデメリットも考えられ、そのまま日本へ導入することは難しいが、面白い例である。

110 臨時報告書による開示対象子会社の範囲の適正化

金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」を、平成24年 9 月28日に公布し、パブリックコメントの結果も併せて公表した。

この内閣府令は、オリンパス等の粉飾事件を受けて、「売上高等の小さな会社に係る高額な対価による子会社取得について、金融商品取引法上の開示が行われていなかった」との指摘から、臨時報告書の提出事由に、以下の要件を加えることとされた。

子会社の取得を決定した際に、
当該子会社取得の対価の額が提出会社の直近最終事業年度の純資産額の15%以上となる場合
連結子会社による子会社取得の対価の額が連結会社の直近最終事業年度の純資産の15%以上となる場合

つまり、下記の場合に臨時報告書の開示が必要となる。

「子会社取得の対価の額」≧直近最終事業年度の提出会社の純資産額15%
または、
連結子会社による「子会社取得の対価の額」≧直近最終事業年度の連結会社の純資産額15%

「子会社取得の対価の額」については、実質的に、一連の子会社の取得行為として判断される会社等については、その会社の取得の対価も、「子会社取得の対価の額」に合算して判断することになる。

また、「子会社取得の対価の額」には、株式(持分)の売買代金や、対価としての自己株式、子会社取得に当たって支払う手数料、報酬その他の費用等の額が含まれるので、思わぬ開示漏れとならないように、注意が必要である。

この内閣府令は、平成24年10月1日からの施行となっている。