平成24年 9 月28 日、厚生労働省は「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部」において、厚生年金基金の代行制度を一定の経過期間をおいて廃止する方針を決定した。
この制度を利用している場合には、制度の運用方針によっては会計上も影響あるので留意が必要である。
例えば、解散又は脱退する場合で、例外法(退職給付会計基準の注解12)を採用している場合には、解散又は脱退に伴う追加的な拠出があれば、その要拠出額を費用として認識することになる。
また一定の要件を満たせば、厚生年金基金解散損失引当金等の科目で処理する必要がある。
※退職給付会計基準の注解12
総合設立の厚生年金基金を採用している場合のように、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができないときには、当該年金基金への要拠出額を退職給付費用として処理する。この場合においては、掛金拠出割合等により計算した年金資産の額を注記するものとする。
本年、7月1日に再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度がスタートし、約3ヶ月が経過した。各種の節税メリットにより、投資が盛んなようで、太陽光発電が認定件数全体の99%を占める状況となっている。
平成24年度の太陽光発電の現状の買取価格・期間は以下のとおりである。
買取価格・期間は、年度毎に経済産業省傘下の調達価格等算定委員会の意見を聴き、見直しが行われる。
なお、一度売電がスタートした場合、買取価格・期間は当初の特定契約の内容で『固定』される仕組みになっている。
太陽光 |
10kW以上 |
10kW未満 |
10kW未満 |
(ダブル発電) |
調達価格 |
42円(40円+税) |
内税42円 |
内税34円 |
調達期間 |
20年間 |
10年間 |
10年間 |
ここで、太陽光発電設備から生じる売電収入の消費税の課税関係が気になるが、事業者による太陽光発電設備から生じる売電収入は、資産の譲渡等となり、課税売上に該当するようである。
10kW以上の場合、収入は40円で固定されるが、別途消費税がかかる計算になる。
10kW未満の場合、内税であるため、事業者に該当すると手取り収入にも影響する。
投資の際は将来的な消費税の税率変更(増税)リスクも考慮する必要があるようである。
平成24年8月23日、企業会計基準委員会(ASBJ)は、企業結合ステップ2の検討を行った。
企業結合ステップ2では、平成20年12月に改正が行われたステップ1(持分プーリング法の廃止)以外ののれんの非償却などが議論されている。
今回は、支配の喪失の取扱いに関して検討の方向性が示された。
支配の喪失を契機に投資の性質が変わるという観点で、子会社から関連会社になった(支配を喪失した)場合についても、平成20年12月に改正された段階取得との整合性から、残存投資部分について損益を認識することなどが提案された。
しかしながら、我が国の会計基準では、子会社から関連会社になる場合においては、投資が継続していると考えており、残存部分について損益を認識する処理は実態に合っていないとの意見もある。
子会社から関連会社になった場合に、投資の性質が変わるとみるのか、投資は継続されているとみるのか、今後の議論に注目である。