金融庁は平成26年1月14日、改正財務諸表等規則案を公表した。金融庁は平成26年3月から連結財務諸表を作成している会社などを対象として単体開示の簡素化を図る方針である。
簡略化が図られる主な内容は次のとおりである。
・本表について会社法の要求水準に合わせるため新たな様式を規定
・注記について連結で十分な開示が行われている項目の免除
・セグメント情報を開示している場合、製造原価明細は開示免除
これは国際的な財務報告の流れや財界や実務の意向を考慮した改正であるが、有用性が薄くなった財務報告の簡素化は財務諸表利用者の観点でも有意義と思われる。
以上
政府は11月29日、「会社法の一部を改正する法律案」と「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。
コーポレートガバナンス(企業統治)を強化するため、新たな機関設計として導入される「監査等委員会設置会社」の制度や、親会社の株主が子会社の経営陣の責任を追及できる「多重代表訴訟」の制度の創設が柱となる。
なお、上場企業への社外取締役の設置義務付けが以前より焦点となっていたが、経済界の反発を受けて見送られている。ただし、監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)であって有価証券報告書の提出が義務付けられている会社で社外取締役を選任しない場合には、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を、定時株主総会にて説明しなければならないとした。
また、社外取締役や社外監査役の要件も、親会社や兄弟会社の業務執行者、当該会社の業務執行者の近親者が該当しないよう厳格化する。
さらに、改正法案附則にて、施行の2年後に、社外取締役の義務付けをあらためて再検討すると、将来的には義務化の検討がされることを明記している。
金融庁は、11月13日に行われた企業会計審議会監査部会にて、特別目的の財務諸表監査を対象として「準拠性に関する意見」の表明が可能との規定を監査基準に明文化する方向で議論を行った。
近年、投資事業有限責任組合監査やファンド監査等、特定の利用者のニーズを満たすべく特別の利用目的に適合した財務諸表に対しても、監査という形で信頼性の担保を求めたいとの要望が高まってきている。
一般目的の財務諸表監査の場合、会計基準への準拠性に加え経営者が採用した会計方針の選択や適用方法、財務諸表全体としての表示が適正表示を担保しているかといった実質的な判断を含めた意見(適正性に関する意見)が求められる。
一方、特別目的の財務諸表監査の場合、一般目的の財務諸表監査と異なり、保証範囲等が異なることから、適正性に関する意見は馴染まない事も多く、当該特定目的の財務諸表に関する会計基準に準拠して作成されているかどうかについての意見(準拠性に関する意見)を表明することがより適切と考えられる事から、今回の議論に至った。
監査基準が改訂されれば、平成26年4月1日以降に発行する監査報告書から適用される予定である。