2012.05.15 IFRS新着情報 公開草案「包括利益の表示に関する会計基準」
ASBJは平成24年4月24日に「包括利益の表示に関する会計基準」の公開草案を公表しました。この会計基準の公表は、日本基準とIFRSとの差異を埋めるコンバージェンスの一環として改訂されました。
日本基準に、包括利益の概念を適用することは、最終利益の概念を拡大するものです。そのため、単体財務諸表の利益は分配可能額の計算や課税所得計算の基礎となる等、影響が非常に大きく、個別財務諸表における包括利益の表示がどうなるのか懸念されていました。しかし、単体財務諸表に関する検討会議が平成24年4月に公表した報告書の中では、以下のように検討されていました。
個別財務諸表にも包括利益の表示を要求することは、個別財務諸表の財務実態をより明確にすることに役立つ。
しかし、①個別財務諸表の包括利益についての主な情報は株主資本等変動計算書からも読み取ることができる。②IFRSでは当期純利益の内容が変質している可能性がある中で個別財務諸表についても包括利益を表示するのは時期尚早である。
これらの検討結果を受け、公開草案では当面の間、個別財務諸表には包括利益の表示を設けないとしました。
また、改訂IAS第1号「財務諸表の表示」(2011年6月公表)で規定されている書類名と同じにすることが検討されました。
具体的には、1計算書方式の名称を「損益及び包括利益計算書」から「純利益及びその他の包括利益計算書」、2計算書方式の名称を「損益計算書」・「包括利益計算書」から「純損益計算書」・「純損益及びその他の包括利益計算書」に変更することを検討しましたが、改訂IAS第1号と書類名を統一せず、現状を維持することとなりました。