お知らせ

日本と中国の新語・流行語

2023.09.11

 

皆様、お始めにお目にかかります。

監査法人アリアの関(カン)と申します。

 

 

光陰矢の如し。

今年も残り約3か月となりました。日本の年末恒例の一つである「新語・流行語大賞」は私も毎年注目しています。

年末年始のタイミングで一年を総括するイベントを追いかけると、その年の世相を垣間見ることができます。

2022年の新語・流行語大賞はこちらでしたね。

 

図1 2022年日本新語・流行語大賞

日本と中国の新語・流行語

出典:「日刊スポーツ」(2022)より引用

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202212010000406.html

 

 

次に2012年~2021年の年間大賞はこちらです。

当時の新語・流行語も今では懐かしいですね。

 

図2 2012年~2021年日本新語・流行語年間大賞

日本と中国の新語・流行語

出典:「日刊スポーツ」(2022)より引用

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/photonews/photonews_nsInc_202212010000409-0.html

 

 

新語・流行語を中国語訳すると下記のようになります。

 

表1 2012年~2022年日本流行語年間大賞中国語訳

年度 日本語 中国語
2012年 ワイルドだろぉ 够狂野吧
2013年 今でしょ! 就是现在啦
お・も・て・な・し 盛情款待
じぇじぇじぇ 啧啧啧
倍返し 加倍奉还
2014年 ダメよ〜ダメダメ 不行哟~不行不行
集団的自衛権 集体自卫权
2015年 爆買い 爆买
トリプルスリー Triple 3
2016年 神ってる 神仙附体
インスタ映え 晒美照
2017年 忖度 忖度
2018年 そだねー 是呀
2019年 ONE TEAM 团结一致
2020年 3密 三密
2021年 リアル二刀流/ショータイム) 真实二刀流/表演时间
2022年 村神様 村神

 

 

日本の歴代の授賞語の中では、スポーツ関連の言葉が多い傾向がありますね。

中国でも流行語となったのは2013年の「倍返し」(加倍奉还)です。

その年の大人気ドラマ「半沢直樹」が視聴者にスカッとする爽快感を与えてくれることで中国でも半沢ブームを引き起こし、主人公の決め台詞「やられたらやり返す。倍返しだ!」(以牙还牙。加倍奉还!)は大流行したそうです。

個人的に一番印象に残ったのは2017年の年間大賞「忖度」(忖度)です。

語源は中国の古典「詩経」に遡りますが、現代中国語の口語でもほとんど使われていません。とても興味深い意味合いを持っている言葉です。

 

一方で中国では流行語年間大賞が存在しません。しかし2013年頃スマートフォンの普及に伴い、毎年12月に様々な新語・流行語ランキングが発表されるようになっています。

その中でも特に人気度の高いランキング二つご紹介いたします。

 

① 一つは中国教育部所管の「语言文字周报」が選出したものです。

 

図3 「语言文字周报」版ネット流行語TOP10

日本と中国の新語・流行語

出典:「语言文字周报」(2022)より引用

https://mp.weixin.qq.com/s/Y-DbabMSUmz37RgLJwLtRQ

こちらはインターネットの流行語ランキングのようなものです。

 

 

② もう一つは上海文化出版社月刊誌「咬文嚼字」編集部が発表するものです。

 

日本と中国の新語・流行語

図4 「咬文嚼字」版中国流行語TOP10

出典:北青网(2022)より引用

https://baijiahao.baidu.com/s?id=1753280205988957963&wfr=spider&for=pc

中国版の新語・流行語ランキングはこちらが近いです。

そしてこちらがランキングTOP10です。

 

 

表2 2022年中国ネット流行語/流行語ランキング日本語訳

  语言文字周报版ネット流行語TOP10 「咬文嚼字」版中国流行語TOP10
栓Q(唖然とするあまりの「ありがとう」) 踔厉奋发、勇毅前进(奮起し闘志を燃やし、雄々しく前進)
PUA(モラハラ、洗脳、精神的コントロール) 中国式现代化(中国式近代化)
冤种(バカ) 新赛道(新たなサーキット)
小镇做题家(地方出身の大学受験者) 大白(白い防護服を着た作業員)
团长(団体購入リーダー) 烟火气(人の暮らしの匂い、活気)
退!退!退!(下がれ!下がれ!下がれ!) 天花板(トップ、頂点)
嘴替(代弁者) 拿捏(握る、掴む、コントロールする)
一种很新的××(斬新だねえ 雪糕刺客(アイス刺客、アイスアサシン)
服了你個老六(六人目の人、役に立たない人) 精神内耗(精神的エネルギーロス)
10 ××刺客(〇〇刺客、〇〇アサシン) 沉浸式(没入型)

 

 

中国の新語・流行語は政治色の強いワードや政策関連が多いです。また、著名人、芸能人やインフルエンサーから影響を受けやすい傾向が見られます。日本より流行の移り変わりが早いとも言われています。特に流行に敏感なZ世代の間では驚くようなスピードで流行り、消えていきます。では、若者が日常生活の中で頻繁に使っている流行語を3つご紹介したいと思います。

 

 

①栓Q(唖然とするあまりの「ありがとう」)

広西桂林訛りのガイド劉涛さんが桂林の景色を英語で紹介したビデオの最後に言った「Thank you」が「栓Q」に聞こえて「かわいい!ウケる!」とのことで広がりました。

のちに「我真的会谢」(私、本当に感謝するわ)、「听我说谢谢你」(ありがとうと言わせてくれ)といった揶揄の言葉もネットで流行っていたので、「我真的栓Q」という言葉も生まれました。

「気まずい」、「気がふさぐ」、「仕方ない」、「返す言葉もない」、「どうしようもない」、「ドン引き」といった意味合いで使われるようになりました。

 

”干嘛随便做决定?那我真的是栓Q了!”

なんで勝手に決めたの?あなたに感謝しかありませんね。

 

このように嫌味の感謝をいうときに使用もできます。

 

 

② 退!退!退!(下がれ!下がれ!下がれ!)

ある駐車場で無許可販売しているおばさんが人と揉める時に「下がれ!下がれ!下がれ!」と大袈裟に叫びながらフェンシングのような奇抜な踊りを見せました。

このシーンがTikTokユーザーに動画を取られ、ネットに拡散されました。「新型コロナウイルス、退散せよ!」と全国が願っていることと時期が重なって、あっという間に大流行し、人々に強いインパクトを与えました。

TikTok動画はもちろん、スタンプ(表情包)もたくさん作られました。

 

”遇到电车咸猪手,大喊三声“退!退!退!”。”

電車の中で痴漢に遭遇したら、大声で「下がれ!下がれ!下がれ!」と叫ぼう!

 

 

③ ××刺客/雪糕刺客

元々は「雪糕刺客」(アイス刺客、アイスアサシン)という新造語の形で使われていました。アイス刺客とは、コンビニなどでアイスコーナーにある値段の安いアイスの中にこっそり潜んでいる高価なアイスのことです。

普通のアイスだと思って、レジに通すと、想像の数倍上回るお値段になってビックリ!引っ込めるのも気まずくてやむを得ず高額を支払ってしまうという、まさに財布と心に傷を負わせるような気分を表現するのに用いられます。

同じような気持ちでサービスや投資など形の見えないものにも使えます。

 

”发现手信刺客,一定要勇敢说不”!”

とんでもない値段で売られているお土産に気づいたら、必ず勇気を出して「NO!」を言ってください。

 

 

以上で、少しでも新語・流行語の面白さを感じていただけましたか。

 

2023年の日本流行語年間大賞や中国流行語TOP10も楽しみにしています。

みんなで一緒に当ててみませんか!